2007年08月25日
本
久々に技術書以外の本を読んでみた。
二人だけで生きたかった―老夫婦心中事件の周辺
アンダーグラウンド
最初の本はNHKのドキュメンタリーを単行本化したもの。
妻が痴呆症にかかってしまった老夫婦が主人公なのだが、夫が妻の介護に疲れてしまい遺書を残して死に場所を探しつつ25日間も旅をして、最後に海に入水し心中してしまうという話。
二人だけで静かに暮らしていたが、妻の痴呆症がひどくなったので息子夫婦の家に一緒に住むことになったが、そこは"他人の家"で自分たちの居場所ではない。タイトルにもあるが"二人だけ"で生きたかったんだろうな。同居後4ヶ月で心中を決意したようだ。夫はひそひそ声で話していたが、痴呆症の妻が「どこで死ぬの?いつ死ぬの?」と話しているの息子が聞いている。
もちろんその後話し合い、夫は老人ホームに入れてくれと話すが、息子は「親の面倒も見ずに老人ホームに入れたのでは世間に顔向けできない」という事もあり、同居を希望。その場は夫が納得をしたような形で話し合いが終わったがどうやら心中の決心はついてしまったようだ。
本の内容は夫婦の環境やいきさつなどを紹介して、後半心中のための旅の詳細を書いている。
とても悲しい内容で、中でも二人で心中の相談をして妻が「どこで死ぬの?いつ死ぬの?」と言ったのがなんだかとても悲しかったな。いつもは痴呆症のため会話にもほとんど無反応ということだったんだけど、さすがに心中の話題には反応したんだろうか・・・。
もうひとつは心中のための旅で捜索願対策か偽名で旅をしていたんだけど、最後の宿でなぜか本名で泊まった。しかもそこの主人と「これから東京に帰る」と話している。本では旅をしてその刺激で妻の痴呆症が一時的に改善したのではないか、その希望で心中を思いとどまったのではないか、と書いている。でもその直後二人はある海岸に姿を見せた。その姿を近所の人が見かけて、「仲のいい老夫婦に見えた」と話している。その3時間後、二人の死体が発見された。
この心中しようと死に場所を探す途中に希望の光が見え一度は帰ろうとしたんだけど、やっぱり妻の痴呆症の症状を目の当たりにし心中を決心するという希望と絶望がとても悲しかった。
二冊目は作家である村上春樹が、オウム真理教の起こしたいわゆる地下鉄サリン事件の被害者にインタビューして書かれた本である。
777ページと結構分厚い本で、事件の関係者(被害者や被害者を治療した医者など)62人の人にインタビューしている。
インタビューの内容は、あなたがどういう人か、事件の電車に乗ったいきさつ、事件の最中の出来事、事件での後遺症、事件後オウム真理教をどう思っているかということが書かれている。
この本は被害者の人たちには失礼だけど非常に興味深かった。そりゃ毒ガスで攻撃されるなんてテロに遭遇した経験なんてなかなか無いからなぁ。
印象深かったのは、当たり前だがたいていの人がサリンなんて凶悪な兵器で攻撃されているなんて思わず、「あれ、鼻水がいきなり出たぞ」「ちょっと息苦しいな」「周りが暗いぞ」ぐらいにしか思っておらず、今日は体調が悪いなとしか思っていなかったということだ。もちろん床に広がる不信な液体のせいだとわかって「窓を開けろ!開けないと死ぬぞ!」と叫ぶ人もいたようだけど。
もうひとつ印象深いのは、意外とオウム真理教の事を「今すぐ死刑にして欲しい!」と思ってる人は少なかったことだ。もちろんトラウマでもうかかわりたくない、思い出したくないと思っているのかもしれない。でもたいていの人がサリン事件という災害に巻き込まれてしまったと考え、直接実行犯や麻原には恨みを持ってないようにとれた。
と言う事で地下鉄サリン事件という特殊な事件に巻き込まれ、その体験をリアルに書いてあるこの本はとても面白かった。
またこの本の中で「人間(日本人)はとても他人に関心が無く、たとえ毒ガスでやられたとしても隣の人と「何かおかしくない?」などと話す事も無く、地上へ出て被害者の介抱をしても道の反対側の人たちはこちらを見るだけで手伝ってはくれず、こちらの異常な世界と道を挟んでの普通の世界にはとても大きな距離があった」的な事が書いてあったのが非常に印象に残った。
俺としても他人は他人、何か事故があっても野次馬根性を出すのは恥ずかしいというのがあったけど、これからは何か様子がおかしかったらとりあえず首を突っ込んでみようと思う。
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